「美容天気」ご愛読者の皆さま、こんにちは。
ワインエキスパート&チーズプロフェッショナルのTomokoです。

世界一周の旅、Hotで(暑い&辛い料理)青い海と建物も印象的だったチュニジアから、そろそろ次の目的地に向かおうと思います。

アラブの影響で、スパイスも多く使われていたチュニジア料理。
スパイスは今や日用品ですが、600年ほど前のヨーロッパでは、とても貴重で高価だったことを、ふと思い出しました。 産地だったインド・東南アジアへは、アラビア半島を通ることで、アラブ人に高い関税がかけられるので、欧州諸国が何とか関税から逃れようと、独自のルートを求め、大航海時代に突入したのもわかる気がします。

cape-point大航海時代と言って思い浮かぶもの、、、色々ありますが
 “喜望峰の発見” でしょうか。 当時のヨーロッパでは、アフリカ大陸を南下し、カナリア諸島(スペイン)を過ぎた辺りから先は陸の果て!!
船は海から落ちてしまうと思われていたのですから、ヨーロッパ人にとってこの発見は、まさに偉業達成です。

その喜望峰があるのは、南アフリカ共和国!
2010年、サッカーのワールドカップでお馴染みですが、ワインとも
とっても関係が深い国
です。
次の旅先は、アフリカ最南端のワインランド、南アフリカ・ケープタウンです!

eur_africa-map

ケープタウンの季節は春。  今までいた北半球と季節は逆なので
気温も15℃前後と日本の4月~5月くらいの感じです。 ケープタウン周辺は、南アフリカ産ワインの90%以上を造り出す、一大ワイン産地なんです。 では、なぜここがワイン産地になったのか?
答えは大航海時代にあります。

簡単にまとめると、インドや東南アジアへの交易の補給地点として
オランダ東インド会社がケープタウンに植民地を造ると、多くのオランダ人が入植。 その後ケープ地方に、ナントの勅令の廃止で弾圧を受けた、プロテスタントのフランス人やドイツ人達が、大量に移民として入植してきます。 更に後には、繁栄を極めたイギリスの植民地になるので、多くのイギリス人も入植してきます。

そして、南アフリカで最初にワインを造ったのはオランダ人。
オランダ東インド会社初代総督のヤン・ファン・リーベックの日記には、1655年ブドウの苗木が植えられ、1659年に初めて、ケープのブドウからワインが造られた、とあります。
まずオランダ人がワインを造り、後にフランス人が技術を伝えて発展させたという訳です。
もちろんここまで発展したのは、ケープ地方の気候や土壌が、ワイン造りに適していたからです。

一方で大航海時代は、南アフリカに負の火種を持ち込んだようにも、私には思えます。
白人が優位で、特に黒人には十分な人権が認められなかった“アパルトヘイト(人種隔離政策)”のことです。 なぜなら、アフリカーナーと呼ばれる最初の入植者・オランダ人等と、後の植民地支配者
イギリス人の間には、同じ白人ながら格差があり、長い間、お互いの優位を争い、対立していました。
両者の捌け口が、黒人を差別することに向かったように思えるからです。

でも “アパルトヘイト” は、1994年にネルソン・マンデラ氏が黒人初の大統領に就任すると撤廃。
それから、全ての人種が調和して共存する「虹の国」をスローガンに、新たなスタートを切りました。

そして、この明るい動きは、ワイン業界にも影響を与えています。
ご紹介するタンディ・ワインズは、南アフリカ初の農園BEE(*1)プロジェクトで成功したワイナリー
少なくとも、ワイン生産の視点から見れば、スローガンに着々と近づいているのではないでしょうか。

今回は「虹の国」南アフリカから、夏の終わりに飲みたい白ワインをご紹介します。

●タンディ シャルドネ・シュナンブラン 2010 / THANDI Chardonnay Chenin Blanc 2010

Thandi2010造り手:タンディ・ワインズ / Thandi Wines
生産国・生産地:南アフリカ共和国、西ケープ州のエルギン地域
原産地呼称(Wine of Origin):W.O Western Cape
タイプ:白、辛口
ブドウ品種:シャルドネ52%、シュナン・ブラン48%
アルコール度数:13.5%

このワインが造られるエルギン地域は、ケープタウンから南東に約70km、1時間ほどの場所にあります。
標高が300m~600mと高いエリアで、周囲は山に囲まています。
(ちなみに、東京の高尾山の標高が599m)
海にも近いため、海から吹く風が周辺の山にぶつかると雲が出やすく
ワイン産地の中では、冷涼なエリア。
土壌もバラエティに富んでいて、テーブルマウンテンの砂岩質のほか
特に頁岩(けつがん)が多いところです。 昔から林檎の産地でもあり、この冷涼な気候や土壌がブドウ栽培にも合い、ここ数年で、評価があがっているエリアです。

このワインの特徴は3つ。

SA-district-map

1. 黒人支援プロジェクトから始まったワイナリー
2. 世界初のフェアトレードワイン
3. サステイナビリティ認定ワイン

まず、1つ目。
このワイナリーは、ほど近くにあるドイツ系家族経営のワイナリー“ポール・クルーバー”等の支援で、複数からなる黒人のコミュニティーに畑を貸付け、彼ら自らが運営・生産・販売をすることで技能の向上、生活の改善、地域の発展を願うプロジェクトとしてスタートしました。 その名も“タンディ・プロジェクト”
“タンディ”は、コーサ語で「はぐくむ愛」という意味で、ラベルには母親が子供を抱いている絵が描かれています。 月日の経過と共に、他の黒人コミュニティ等との提携、政府の補助金を受けながら拡大し
立ち上げからの協力者“ポール・クルーバー”からは、技術指導や運営のサポートが続けられました。
黒人所有のワイナリーとしては、南アフリカで最も成功しているワイナリーです。

2つ目。
“フェアトレードワイン”とは、途上国の製品を買い叩き、安く不当な取引をせず、先進国と同様に
国際的に正当な価格で取引しましょう、という取り組みで扱われたワインのこと。
途上国の人々の暮らしの自立・改善を応援する他、売上の一部が地域の社会貢献に使用されています。
もちろん認定されたワインも、環境に配慮して造られるなど、基準をクリアしたもの。
タンディは、2003年に世界で初めてフェアトレード認証を受けたワイナリ―です。(マークはボトル下方の黒と青と黄緑色で描かれた人が手を掲げているもの)

そして、3つ目。
ケープタウン周辺には、固有の植物種が多く、2004年に周囲8つの保護区が“ケープ植物保護地域群”として、ユネスコの世界遺産に登録されました。 皮肉なことに、なんと95%近くのワインが、この保護区の中で造られています! Thandi-vineyard“タンディ・ワインズ”があるのも、この保護区域内。 そのため、ワイン業界では、様々な団体が、環境保護への取り組みを行っています。
sustainability-seal南アフリカワインのボトルネックに貼られている
“サステイナビリティ認定シール”もこの一つ。
“Sustainable(サステイナブル)=持続可能な”という意味で、環境に配慮し、働く人の安全も保障するワイン造りをしている証です。今では95%以上のワイン生産者が、この認定を受けています。

 

では最後に、このワインの味わいです。thabdi_glasswine

外観は、澄んだ濃いストローイエローにゴールドも入って輝きのあるカラー
香りは、かりん、トロピカルフルーツに加え、バターやナッツなどのニュアンスも感じます。 味わってみると、ボリューム感のあるアタック、トロピカルフルーツの甘さも感じつつ、ドライで酸味があり、後味には苦味やスパイシーさが感じられる、しっかりしたワインでした。

朝晩は涼しく秋めいて、少しボディーのある白にシフトしたくなる頃。
美味しく頂きながら、“虹の国”への小さな力になれたら、お互いHappyですね♪

ではまた、次の旅先で ~ See you! ~

☆次回の更新は、9月25日(水)です☆

*1:“BEE”とは “Black Economic Empowerment” の略で、南アフリカにおける
黒人権利拡大の政策のことです。


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安田 智子 / Tomoko Yasuda 日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート Wine&Spirit Education Trust International Higher Certificate/ チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル チーズプロフェッショナル協会認定チーズ検定講師
 
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