「美容天気」ご愛読者の皆さま、こんにちは。
ワインエキスパート&チーズプロフェッショナルのTomokoです。

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フランスから始まった世界一周の旅も、いよいよ
残り2ヶ月。 私は今、アメリカにいます!
きっかけは、イギリスで食べた、伝統的な”チェダー”
チーズ生産量世界一、そしてアメリカの中で独自に進化したチェダー。。覗いてみたくなりました(^^)

早速、観光やらチーズ散策に繰り出すと、ラッキーなことに気付きました。 10月は、アメリカのチーズ月間
いうことで、イベントもたくさんあるみたいです♪
早速、マンハッタンのとあるチーズ専門店で
一度見たら忘れないユニークなチーズを発見! 手に取ってみると“アルチザンチーズ”と書いてあり
元々のホームベースはシアトルのようでした。
“アルチザンチーズ”とは、スペシャリティチーズのうちの、一つのカテゴリーです。
具体的には“チーズ職人の手作業によって造られるチーズ”のこと。
職人が手作業によって、伝統的な方法で造るため、一度に少しずつしか造れません。

一方で、多くの人が持つイメージ通り、やはりアメリカのチーズの主流は、大量生産された
工場製です。 これは、かつてのイギリス植民地、移民の国アメリカならではの理由があります。

初期の頃のアメリカは、東海岸にヨーロッパの様々な国からの入植者がいました。
彼らは生計を立てる為、農業やそれぞれの故郷から持ってきたレシピで、チーズ造りを始めます。
そう、かつてのヨーロッパ社会同様、当時は女性が家事をするように、チーズ造りもしており
ある意味“アルチザンチーズ”だったのです。

usa-cheesemaking-areaところが、植民地抗争で勝ち進んでいくイギリスによって
アメリカの土地の多くは、イギリスのものになっていき
当然、イギリス本土からの影響も受けることになります。
イギリスからの移民も益々増え、農地を求めて、人々はどんどん西へと進んでいきます。
最終的には、西海岸まで到達しますが、その中でも、チーズ造りに適した地勢や気候だったカリフォルニア州周辺のエリアと、五大湖に面したウィスコンシン州周辺が、現在のチーズの主要生産地になります。

washington-dairy-farmそして、イギリス本土で起こった産業革命の技術は、19世紀のアメリカにまで影響を与え、チーズ工場が誕生すると、アメリカで造られたチーズは、イギリスにどんどん輸出されるようになりました。 やがて工場では、チェダーチーズの生産一色に変化していきます。

なぜ、チェダーチーズだけになったのかというと。。。
丁度、19世紀頃イギリス本土では、科学的な法則に基づいてチェダーチーズを造る方法がクローズアップされ、チェダーチーズが躍進していたのです。
この流れにのり、アメリカでは大量のチェダーチーズを造るようになったという訳です。
このような理由で、アメリカのチーズは工場での大量生産がメインとなり、今も続いていると言っていいでしょう。

でも20世紀の終わり頃、職人によるチーズや農場作りのチーズを造る有志がでてきて、その草の根組織ができると、アメリカでも、徐々にスペシャリティチーズが知れ渡るようになりました。
アメリカのチーズ生産者は、遥か昔の伝統方法で造るチーズの記憶を忘れていなかったのですね!

スペシャリティチーズは、日本でもここ数年、デパート内等でも見かけられるようになりました。

今回はアメリカから、一度見たら忘れられない、ユニークな“アルチザンチーズ”をご紹介します。

●ノー・ウーマン / No Woman

No-Woman Cheese造り手:ビーチャーズ・ハンドメイド・チーズ/BEECHER’S HANDMADE CHEESE
生産国・産地:アメリカ
原料乳:牛乳(低温殺菌乳)
タイプ:セミハードのフレーバードタイプ
固形分中乳脂肪:48%
分類:スペシャリティチーズ(アルチザン/Artisan Cheese)

見た目とパッケージがとってもユニークなチーズ!
淡いイエローの土台を血管のように入り組む、焦げ茶色のスパイス。
またユニークなイラストとネーミングは、一度見たら忘れないくらいのインパクトです。

まずこのチーズは、造り手の創業当時から続く、代表的な“Flagship”というチーズをベース
ジャマイカのジャークスパイスを加えて造られたフレーバードチーズです。
ジャークスパイスとは、ジャマイカ発祥の、オールスパイス等が加えられて作られたマリネやペーストタイプの調味料。 元々ジャークというのは、肉や魚、野菜などをスパイスで味付けした料理のことだったようですが、今では多くのスパイスが使われたピリッと辛い調味料を指すようです。

さて、元々のチーズ”Flagship”は、この造り手の代表的なチーズで、人工的な添加物は一切入っていません。 そして、このチーズの製造工程 には、本家イギリスの”チェダーチーズ”を造る時に使われる“チェダリング”という独特の工程 が含まれています。
簡単に説明すると、生まれたてのチーズの生地から水分を抜き、ある程度の大きさにカットした生地を一定時間ごとに、決められた温度を保ちながら、何度も何度も上下をひっくり返しては積み重ねる作業のこと。 できたチーズは、ボロボロとした脆く崩れやすい組織で、酸味があるのが特徴です。
こうして見るにつけても、チェダーが深く根付いているのが、わかりますね。

では、チーズをテイスティングしてみましょう!

クリーミーで優しく爽やかなチーズの風味が広がり、次にエキゾチックで、旨味のあるバーベキューソースのようなスパイシーな味わいとロースト感が、最後にピリッと辛さも感じる味わいは、お酒のおつまみや、お料理にも広く使えそうです。
慎重にカットしないと、崩れてしまう脆い組織が、チェダリングされたチーズだとわかります。
オクトーバー・フェストの余韻も冷めやらぬ頃、ドイツベルギーのビール黒ビールと相性バッチリ! また、スパイシー感のあるシラー、酸味と甘さを持つリースリング等もおススメです!

no-woman_Bkbeer1最後にこのパッケージを見てすぐに、ジャマイカに関係しているのかな、と思った方は、かなりのレゲエ通です(笑)

“No Woman”というチーズの名前は、ジャマイカ出身のレゲエの神様と言われる、ボブ・マーリーの“No Woman, No Cry”にちなんで
名付けられました。 パッケージの”No Woman”の文字の下、ドレッドヘアのボブ・マーリーらしきイラストが(笑)

メーカーに聞いてみたところ、このチーズにジャマイカ発祥のジャークスパイスが入っているので、名前をつける時にジャマイカのものと結び付けたかったそう。 そして何より、社長のKurtさんが、ボブ・マーリーの大ファンな上に、この歌が大好きで、チーズの名前としても、面白いと思ったからだそうです。 うん、確かに納得!

イギリスが生み、アメリカで独自に発展し、ジャマイカの香りが入ったチーズ。
昔の支配者と支配された者が手を取り合っているこのチーズは、まさにボブ・マーリーが
生涯をかけて望んだ世界の形だったのでは、、、
などと考えながら味わうのも、秋らしくていいかもしれませんね(^^)

ではまた、次の旅先で ~ See you! ~

☆次回の更新は、11月27日(水)です☆

 


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TOMOKO

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安田 智子 / Tomoko Yasuda 日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート Wine&Spirit Education Trust International Higher Certificate/ チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル チーズプロフェッショナル協会認定チーズ検定講師
 
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